どれほど嬉しいことでしょうか。
朝の間中、庭をあちこちと歩き回りました。
湿りを得た地から、冬の間ずっと嗅ぐことのできなかった
土の香りが芳しく匂い立ち、 しだれ柳や桜の木には小さな芽が萌え始めました。
至る所から、ぽんぽんと新しい命の息吹の音が聞こえてくるようです。
一晩降った雨で、すべてのものが香りを放つ春の庭園になりました。
世の中が騒がしかろうと、どうであろうと、
三月になれば、必ず春は訪れてきます。
このように冬が去って春になり、
春になれば花が満開になる自然は、とても貴重なものなのです。
私が何者だからといって、
神様は季節ごとの花を咲かせ、雪を降らせ、
生の喜びを与えてくださるのでしょうか。
胸の内、その奥深いところから愛が溢れ、
それが喉元まで込み上げて来て、息が詰まるようです。
私はこの春を迎える庭でまことの平和を味わっています。
平和もまた、神様が何の見返りも求めず、 ただで下さったものです。
私たちはそれをどこでなくしてしまったのでしょうか。
全く見当違いの場所で、平和を探しだそうと、
努力しているのかも知れません。